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2021年 春 県政報告

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謹啓 春暖の候、ご清栄のこととお慶び申しあげます。
 さて、県議会議員として早くも二年が経過しようとしております。県議会活動を通じ、多くの諸課題が見えてきております。今定例会は令和3年度一般会計当初予算案をはじめ、「やまなし教育環境・介護基盤整備基金条例制定の件」などの審議とあわせ、県有資産の高度活用等、当面する諸課題について、活発な議論が交わされました。
 県民の代表として、執行機関に対し、常に緊張感を持ちながら自由闊達な議論を交わし、監視機関としての責務を果たすとともに、県民から信頼される県議会として県政を推進する真の両輪となり、県民の負託に応えられるよう努力してまいります。
 現在、感染のリバウンドや変異ウイルスへの脅威はあるものの、県・市町村が懸命に取り組まれているワクチン接種などを弾みに、県民生活に蔓延する不安や閉塞感が払拭され、社会経済活動が加速的に再開されるよう、私も全身全霊を傾注し、その役割・責務を果たして参る所存であります。
 今後ともご指導、ご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。 

令和三年三月吉日

2020年 冬 県政報告

Q1. 県道甲斐中央線における歩道整備について

この県道甲斐中央線旧道は道幅が狭いため、車両がすれ違う際には運転手も一段と注意を払う必要があり、また、買い物のため、歩いて利用する住民も多いが、昭和町築地新居地区においては歩道が整備されていない区間がある。旧道といえども、地域住民にとっては必要不可欠な生活道路であり、小学校への通学や地域活動の拠点である公会堂に向かう際に利用する人も多く、道路が混雑している状況の中、歩行者は側溝の上を民地側の塀に張り付くようにしながら歩いている状況である。

バイパス区間は幅員が広く歩道も整備され、道路事情が良くなっていることもあり、私は、この旧道の状況を見るにつけ、当該地区の歩道整備が取り残されたのではないかと思いを強くするとともに、いつか道路環境の悪さに起因する交通事故が起こってしまうのではないかと懸念している。

そこで昭和町内における県道甲斐中央線旧道の歩道整備の取り組みについて伺う。

 

A1. (県土整備部長)

歩道設置に向けて詳細設計を進める‼

県道甲斐中央線は、昭和町付近では大型車交通がバイパスに転換されたが、旧道は近隣に大型商業施設が進出したため買い物客などの生活交通が多い状況だ。

一方、昭和町内の旧道においては、築地新居地区の県営玉川団地入口交差点から南側約400メートル区間は、幅員が狭く歩道が設置されていないため、前後区間と歩道の連続性が確保されておらず、通学など歩行者の安全対策が課題であると認識している。

このため、昨年度末、前後区間と同様に道路の東側に歩道を設置することで地元住民と合意し、来年度地元の協力を得て測量や詳細設計を進めていく。

Q2. 幼児教育センターの今後の取り組みについて

現在、保育士、幼稚園教諭、保育教諭は、関係団体が異なる内容の研修を実施しているが、保育者全体の資質を高めるため、体系的・統一的に研修が行われることが望ましい。
昨年、山梨大学構内に開設された、やまなし幼児教育センターには、関係者が一体となり幼児教育の推進を図り、様々な問題解決の中心的な役割を果たすことを期待している。
そこで、開設から間もなく半年を迎える、やまなし幼児教育センターのこれまでの取り組みや、今後の方向性について伺う。

 

 

A2. (教育長)

関係機関と連携し幼児教育を推進‼

昨年10月に開設した、やまなし幼児教育センターは保育者の資質向上や本県幼児教育の充実などを目的としており、現在、幼児教育の基本方針となる幼児教育振興プログラムの作成を進めている。
そのため、まず幼児教育の現状や課題等を把握するために、専門的知見を有する大学教授等の協力を得ながら、県内全ての幼児教育施設に対するアンケート調査を行い、その調査結果を分析しているところだ。
また、各幼児教育施設が行う研修会に大学の専門家などを幼児教育アドバイザーとして派遣し、専門的知見から個別の状況に応じた助言を行うなど、本県の幼児教育の質の向上に向けた、保育者の支援を行っている。
今後は、保育所や幼稚園などの施設類型に応じて実施している研修を見直し、その枠を超えた、保育者のキャリアステージを踏まえた新たな研修体系を検討する。
更に、幼児期の学びと育ちを小学校入学後に生かすため、保育者と小学校教諭が互いの取り組みや子どもたちの状況を情報交換する機会を設けるなど、今後も大学や関係機関と連携し幼児教育の推進に努める。

Q3. 教員のICT活用指導力の向上について

授業でICTを活用するには、教員の指導力向上が重要であるが、文科省が発表した、令和元年度中にICT活用指導力に関する研修を受講した教員の割合をみると、全国平均約50%に対して、本県は約44%となっていた。
この結果は、ICT活用指導力に関する研修の改善を図る必要があることを示唆するものであると考える。そこで、本県のICT教育を推進していくため、今後の、教員のICT活用指導力の向上に向けて、どのように取り組んでいくのか伺う。

 

A3. (教育長)

教員のICT活用指導力の向上を推進‼

県では、先般策定した令和3年度山梨県学校教育指導重点にて、学習指導要領における主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善に向けて、ICTを活用した教育の推進などを位置付け、着実に推進していくため、総合教育センターでは、来年度の研修計画として、各教
科等の授業づくりに係る研修など、本年度の2倍以上となる約50講座においてICT教育の実践事例などを取り上げることを検討している。
また、授業などで参考となる教員向けのICT機器の活用ガイドブックや、各教科等のICT活用実践事例集の作成などに取り組んでいく。
更に、全ての県立学校において、ICT教育を推進する教員や支援員などが中心となり授業改善研究や校内研修を実施していく。
加えて特別支援学校においては、障害の特性に応じたICTの活用を図るため、モデル校を指定して入出力支援装置などの活用研究を行うとともに、各学校での実践につなげるための研修会を実施していく。
教員がICTに慣れ親しみ、ICT活用指導力の向上が図られるよう、引き続きこれらの取り組みなどを着実に実施していく。

Q4. 要配慮者利用施設の避難確保計画について

県内の要配慮者利用施設における避難確保計画の作成率は全国平均を下回っており、また、県内保育施設の半数が浸水想定区域内に立地しているとの報道に接し、災害時の避難行動が円滑に行われるか危惧している。
要配慮者利用施設の管理者等が行うべき避難確保計画の作成に向け、行政が積極的に支援する必要があると考える。
そこで、本県の浸水想定区域における避難確保計画について、直近の作成状況と、作成の促進に向けた県の取り組みについて伺う。

 

A4. (防災局長)

施設の避難確保計画の作成を最大限支援‼

市町村が地域防災計画に定めた浸水想定区域内の要配慮者利用施設に避難確保計画の作成が義務付けられており、昨年10月31日時点で対象となる県内850施設のうち434施設、約51パーセントが作成済となっている。
県では施設へ計画の作成を直接促すとともに、関係部局が国と連携し作成促進に向けた体制を構築、市町村が未作成施設に的確に指導できるよう支援している。
具体的には、市町村の関係部署に対し、計画の必要性や作成方法等について説明会の開催、個別施設への技術的助言や講習会への職員派遣など、市町村の状況に応じたきめ細かな対応に努めている。
引き続き、国が目標とする来年度中の作成率100パーセントを目指し、国や市町村と緊密に連携し、施設の避難体制の強化と利用者の安全・安心の確保に向け、避難確保計画の作成を最大限支援していく。

Q5. ひきこもり対策の推進について

中高年層のひきこもりに対しては、生活困窮や親の介護なども含めた包括的な支援が必要であり、きめ細やかな支援を行うには、市町村の果たす役割が大きいと考える。
中高年層への支援を含め、ひきこもり対策を効果的に推進していくためには、県と市町村が緊密に連携し、それぞれの役割を果たしていくことが重要であり、県として、市町村による支援体制づくりなどを積極的にバックアップしていくべきと考えるが、今後どのように取り組むのか伺う。

A5. (福祉保健部長)

関係機関のネットワーク化を促‼

県では今年度、相談対応する際のポイントや関係機関との連携方法などを盛り込んだ手引書を作成し、市町村が行う支援の充実を図ることとしている。
また、個々の家庭が抱える課題を踏まえて、包括的な支援を行うためには、市町村が家族会や民間支援団体等と緊密に連携することが重要である。
このため、県では新たに、ひきこもり対策に精通したアドバイザーを市町村に派遣するとともに、連携による効果的な支援を展開するための研修会を開催するなど、関係機関のネットワーク化を促進し、所要の経費を補正予算に計上したところだ。
今後は、県のひきこもり支援検討会議等を通じて、各地域の好事例を全県へ波及するなど、市町村におけるひきこもり対策のより一層の推進を図っていく。

Q6. 脱炭素社会の実現に向けたEV充電インフラの整備について

日本は欧州などと比べてEVの普及が進んでいるとは言えず、車両の低価格化や、充電インフラの整備など、課題も多い。特に、EV等への転換と並行して、充電インフラの整備を計画的に進め、今後のEVの大量導入を見据えて急速充電器の設置を増やしていくことが重要であると考える。
そこで、県では「次世代自動車充電インフラ整備ビジョン」を策定し、取り組みを進めてきたと承知しているが、その進捗状況について伺う。
県では、災害リスクの高いエリアなどへの太陽光発電の設置を規制する条例の制定を進めているが、太陽光の有効利用という視点も必要であり、太陽光を充電インフラへ活用することが極めて有効だと考えるが、県の所見を伺う。

A6. (知事)

脱炭素社会の実現と電力供給体制の一層の強靱化に積極的に取り組む‼

県の次世代自動車充電インフラ整備ビジョンでは、国の整備方針に基づき、急速充電器を半径15キロメートル圏ごと、計46箇所に設置することとしているが、本年度までに目標を大きく上回る68箇所の整備が進んでいる。
昨年、国は2050年の脱炭素化を表明し、今後のEVの導入では太陽光など再生可能エネルギー由来の電力使用を積極的に推進していくこととしている。
また、議員の指摘のとおり、EVは非常用電源としての活用も期待され、防災拠点となる公共施設等を対象に、再エネと急速充電器を組み合わせたシステムを導入し、EVと一体的に運用することにより、災害等の停電時においてもより確実に防災拠点としての機能を維持
することが可能となる。
こうしたことを踏まえ、先般、国や、システム導入に関心のある市町村と検討会を立ち上げ、現在、専門的な知見を有するシンクタンクや民間事業者の参画を得る中で、活用する再エネの特性等に応じたシステムの導入方法などについて検討を進めている。
今後、国が示す整備方針と併せて、こうした検討の成果をもとに、再エネと急速充電器を組み合わせたシステムの導入促進を含む新たなビジョンを策定し、脱炭素社会の実現と電力供給体制の一層の強靱化に向け、積極的に取り組みを進めていく。

Q7. 建設産業における担い手確保に向けた取り組みについて

県では、建設産業の持続的な発展を図るため「建設産業担い手確保・育成産学官連携会議」を設置し、今後の取り組みを検討していると承知しているが、建設産業においては、少子化を踏まえ、他産業との人材獲得競争に負けない担い手確保の取り組みを推進していく
ことが急務であると考える。
そこで、産学官連携会議でどのような検討がなされ、建設産業の担い手確保に向け、県では、今後どのような取り組みを行うのか伺う。

A7. (知事)

建設産業の魅力を伝え、高めていく‼

県では、建設産業の担い手確保に関する会議を設置して検討を進めており、建設産業の役割に対する理解不足や、就労環境が課題であることから、行政機関や建設業、教育機関が連携して、建設産業の「魅力を伝える」とともに「魅力を高める」ことを申し合わせたところだ。
「魅力を伝える」取り組みとしては、教育課程に応じた出前講座や、建設の学科・系列の生徒を対象にしたICT施工学習会を新たに実施するとともに、県外の建設系学科進学者に対しても、SNSやユースバンクやまなしなどを通じて県内建設産業の情報を提供し、Uターン
就職につなげていく。
「魅力を高める」取り組みとしては、週休二日制など労働条件の改善を図るとともに、新規入職者や女性技術者団体である「けんせつ小町甲斐」と意見交換会を開催し、ニーズに応じた就労環境を整えていく。
また、県民の安全・安心を支える「ソフトインフラ」である建設産業が、将来に向けた人材の確保・育成を行うためには、必要な公共工事を安定的・継続的に執行し、適正な利潤を確保いただくなど、安定的な経営が不可欠であると認識している。
このため、社会資本整備重点計画に、令和4年度までの3年間で2,200億円の想定事業量を示したところだが、国が来年度から令和7年度までの5か年加速化対策を決定したことから、年度内に想定事業量を見直し、更なる安定的な事業環境の確保に努めていく。

県有地問題とは

山梨県が富士急行に昭和2年(1927年)から貸し付けている山中湖村内の約440ヘクタールの県有地に対して「賃料が安すぎる」として南アルプス市の男性が2017年に提訴。住民訴訟の中で、県は「賃料は適切」としていましたが、昨年8月に「賃料算定に重大な誤りがあった」と方針を転換しました。現在の契約の約6倍にあたる「年間約20億円が妥当」との不動産鑑定書を提出し、「現在の契約は『違法無効』である」と主張しています。
 現県政において最大の関心事である「県有地問題」については、昨年の山梨県の方針転換以降、会派所属の各議員が法律知識をはじめ研鑚を積むとともに、議会内外で議論を重ねてきました。そうした議論の結果として、我々は、県有地の「適正な対価」については、住民訴訟の判準を基にして公平公正で、透明性ある算定方法を執行部に求めてきました。
 今後も、県民共有の財産である県有地の高付加価値化、最適化を目指して、会派として議論を重ねながら「適正な対価」とは何か、という本質論に真正面から取り組んでいきます。